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基礎研究部

ハイパーサーミア医科学研究室

 42.5℃以上の温度で20分間の加温処理を行うと、殆どの細胞は死滅します。42.5℃より、僅か1℃の温度上昇で細胞の生存率は約1/1000に低下します。組織の加温に於いては、腫瘍組織は成長が早く、血管構築が間に合わず、腫瘍中心部は壊死領域を有し、低血流のため温熱効果が現れるが、正常組織では神経支配を受けるため、血管拡張が発生し、血流の増加と代謝産物の流失が発生し、42.5℃以上に温度が上昇し難いため温熱損傷の発生が抑制される。ハイパーサーミア(温熱療法)はこの様な作用機序を利用し、副作用無く、腫瘍部に選択的に細胞死を発生させている。本研究室は放射線治療、化学療法、外科的療法、免疫療法等による悪性腫瘍の治療に温熱療法を併用し、それらの効果を増強するメカニズムを研究している。

現在までに確認されている温熱療法の特徴

1)    42.5℃以上の温度で殺細胞効果が出現する。
2)    42.5℃より、僅か1℃の温度上昇で殺細胞効果は激増する。
3)    腫瘍壊死部は低血流のため温度上昇が容易である。
4)    細胞周期が放射線に抵抗性であるS期に温熱感受性が有る。
5)    放射線に抵抗性である低酸素腫瘍組織に温熱感受性が有る。
6)    低血流のため栄養欠乏状態の腫瘍組織に温熱感受性が有る。
7)    pH値の低い腫瘍組織に温熱感受性が有る。
8)    放射線や化学療法で発生した亜致死障害からの回復を阻害する。
9)    温熱によって、薬剤の細胞内流入は激的に増加する。
10)  高周波電流を用いると深部組織の加温も可能である。

温熱療法を増感するための工夫

1)    化学療法を増感する。
2)    免疫療法を増感する。
3)    放射線治療を増感する。
4)    グルコース点滴で腫瘍部を選択的に低pHにできる。
5)    血管拡張剤の投与で腫瘍血流を低下できる。
6)    標的薬治療の効果を増強する。
7)    加温時の温度上昇を大きくすることで温熱療法は増感する。
8)    温熱療法の複数回施行(週2〜3回)は効果が増強する。
9)    大腿部造血臓器の加温によって免疫担当細胞が活性化する。

研究項目

1)    非侵襲温度測定法の開発(深部2次元温度分布の測定)。
2)    42.5℃での細胞死のメカニズムを解明する。
3)    目的の加温部領域形状に合わせた加温方法の開発。
4)    温熱療法での熱線量を確立する。
5)    加温時の高周波電流を深部に収束させる工夫を行う。
6)    温熱療法の有用性を各科の診療科で理解させる。


(室長:長谷川武夫)